新型コロナウイルスと目の関係。

視力に関わる疾患

新型コロナウイルスと目の関係。

皮膚からは感染しないが、目からは体の中に侵入する。

まず、コロナウイルス感染症について、知識を深めることが大切。

新型コロナウイルス感染症(感染症名COVID-19)は、ヒトからヒトへ「飛沫感染」して発症します。その原因であるウイルスが「SARS-CoV-2(サーズ コブ)」です。

飛沫を直接吸い込まなくても、飛沫が壁やドアノブ、手すりなどに付着して、さらにそれを触った人の手にくっつくき、ウイルスがくっついた手で目や口、鼻まわりを触ることで、ウイルスを体内に吸い込んでしまって増殖していくのです。これを接触感染といいます。

人は、無意識のうちに顔にさわります。豪州の研究チームが2015年、授業中の大学生26人を調べたところ、顔をさわった回数は1時間に平均23回だったと論文で発表しました。目をかいたり鼻を触ったり口に手をやったり。つまり、ウイルスが人間の身体に侵入する経路として一番危ないのは手、なのです。厚生労働省が繰り返し「手を洗って下さい」といっているのは、そういうワケです。

ちなみに、新型コロナウイルスの大きさはどれくらいでしょうか。

0.1マイクロメートル(μm)です。1マイクロメートルは1ミリメートルの1,000分の1ですから、0.1マイクロメートルは1万分の1ミリメートル。新型コロナウイルスを1万倍に大きくすると、やっと「ごま粒」とほぼ同じ大きさになります。それほど小さいのです。

そしてコロナウイルスは、それぞれ単体で浮遊しているわけでなく、咳やくしゃみなど水分をを含んだ状態の「飛沫」として活動します。

新型コロナウイルスと目の関係。

コロナウイルスは、どうして目からも感染するの?

で、本題です。コロナウイルスは口や鼻といった粘膜から感染しますが、目の粘膜組織である「結膜」からも感染します。

目からコロナウイルスが感染する?どういうことでしょうか?

実は、コロナウイルスは、人間のレセプターに結合して、体の中に侵入します。レセプターとは、受容体ともいい、細胞表面の膜に存在し、細胞膜の外側物質と特異的に結合する物質。レセプターがあるのは、鼻粘膜、結膜、口腔粘膜、舌などで、皮膚にはレセプターはありません。つまり、皮膚は天然のバリアーで、コロナウイルスに手で触っても、手自体からは感染しません。

コロナウイルスが付着したテーブルや椅子、パソコンのキーボードなどをあなたがさわり、そのまま手で目をこすったりさわったりした場合に、目の粘膜(結膜)からウイルスが体の中に入る可能性があるのです。

目からの感染を防ぐにはどうしたらよいのでしょうか?
基本的な対策は、手洗い(石鹸による十分な手洗い)、あるいはアルコール等で消毒することです。

新型コロナウイルスと目の関係。

結膜炎を合併する可能性もある。

新型コロナウイルス感染症で、結膜炎を合併する可能性もあります。

結膜炎は、上下のまぶたの裏側と目をつないでいる半透明の膜(結膜)に炎症が起こること。結膜はたくさんの細い血管やリンパ組織(免疫反応を起こす組織)があって、粘性の膜のため病原菌やアレルギー物質を含むさまざまな物質と接触しやすく、感染性の炎症が起きやすいのです。炎症を起こすと白目が充血し、目ヤニや涙が出やすくなります。結膜炎にはアレルギー性結膜炎、ウイルス性結膜炎、細菌性結膜炎などの種類があります。

コロナウイルス患者で結膜炎がおこる頻度は、およそ1~3%とされています。が、まだ十分なデータはありません。頻度は少なくても、コロナウイルス感染症に結膜炎を併発する場合があります。充血がみられた場合でも、コロナウイルス感染症かどうかは、全身所見や症状を詳しく調べない限りは分からないそうです。

ウイルス性結膜炎、細菌性結膜炎などは感染力が強いため、二次感染にも注意が必要とか。手をしっかり洗う、目の周りを拭くときは使い捨てのティッシュを使うなどして、周囲にうつらないように心がけることが重要です。

コンタクトレンズや目薬を使用する際の注意点。

コンタクトレンズ使用はどうすればよいでしょうか?

コンタクトレンズをはめるときと、はずすときに直接目に触れるので、目に触れる前後に十分な手洗いを行います。普段どおりに、コンタクトレンズの消毒やこすり洗いもしっかりと行いましょう。それでも心配ならば、しばらくの間、コンタクトレンズから眼鏡の装用に代えてもよいでしょう。

普段から点眼薬をさしている場合は、目薬をさす前と後に、十分に手洗いを行うこと。当然、他の人と、目薬を共有してはいけません。

眼科医などへ通院のために外出する際は、事前の体温測定、マスク装着、手洗いの励行など基本的な対策を行うよう心がけましょう。のどの痛みや風邪の症状がある場合は、必ず医療機関の受付でその旨を知らせることが大切です。

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