40年後、あなたは今の視力を保っていられますか?
いま、私たちの目を取り巻く環境が急激に変化しています。パソコン、スマートフォン、タブレットなど、デジタル機器のモニターや画面を見ずに過ごす日はないといっても過言ではありません。近い距離にピントを合わせる機会が急激に増えているのです。その結果、目の疲れや痛み、視力低下を招いています。子どもから大人まで、近視が増えています。しかも、こうした状況の中でも、「近視くらい」「メガネやコンタクトで矯正すればいい」「近視はたいした病気じゃない」などと、私たちは軽視しがちです。
ところが、近視は「視力が低下したら、メガネやコンタクトを作り変えればいい」では、すまされない恐ろしい要素を秘めているのです。
いま、自分の視力がどれくらいあるのかのチェック方法として、アルファベットの「C」のようなランドルト環と呼ばれる記号を使い、切れ目の向きを答える「視力検査表」がよく知られています。この検査は5m離れたところから計測した「遠見検査」を調べることが目的で、1.0とか0.7といった馴染みのある数値で視力があらわされます。
しかし、この方法では屈折異常の状態を正しく把握することができません。そこで、その人のピントのズレ具合を数値化した「ディオプトリー(D)」という単位が眼科医や眼鏡店などでは使われます。
ディオプトリーとは、角膜や水晶体がピントを合わせるのに必要なパワー(屈折力)を数値化したもので、近視側にいけば「マイナス」、遠視側にいけば「プラス」となります。
近視の場合、ディオプトリーの計算は、ピントが合わせられる距離で決まり、目の前1mでピントが合う場合は「ー1D」、この距離が50cmならば「ー2D」、25cmならば「-4D」というように、ピントが合う距離が短くなるにつれてディオプトリーの数字は増えていき、近視の程度が上がっていきます。
眼科などでは、
- 軽度近視 -3D未満
- 中等度近視 -3D以上-6D未満
- 強度近視 -6D以上-10D未満
としていて、
-10D以上を最強度近視
と呼ぶこともあります。-10Dでは目の前の10cmまでしかハッキリ見ることができません。
-3D未満は軽度近視、-6D未満は中度近視、ー6D以上が強度近視となります。
現在、強度近視になると失明や合併症のリスクが高くなるのがわかっています。ー6D以上の強度近視でも、コンタクトレンズやレーシック手術で矯正することは可能です。ところが、強度近視が恐ろしいのは、視力が低下することだけでなく、さまざまな目の病気を合併するところにあるのです。
近視の原因としては、水晶体によるもの(屈折性近視)と、眼軸と呼ばれる目の長さによるもの(軸性近視)の2種類があります。軸性近視では、眼軸が長くなると眼球が後方に引き伸ばされるようになり、眼球後方にある網膜やその下にある脈絡膜などに負担がかかります。この負担があまりに大きいと、眼球の一部が飛び出して「後部ぶどう腫」という腫瘤ができるなど、眼底部にさまざまな異常が起こり、網膜が引っ張られて裂けたり穴が開きやすくなることがあります。網脈絡膜萎縮、網膜剥離、網膜分離です。
とくに重要なのはものを見る中心にあたる黄斑部で、これにダメージを受けると視力が極端に落ちてしまう可能性が増えるのです。
強度近視はそれほど恐ろしい病気なのです。たとえー6D未満の近視であっても、近視が1D進むごとに緑内障や網膜剥離、白内障などのリスクは高まるという報告もでています。とくに緑内障は日本人の中途失明で最も多い原因となっています。
多くの人は大人になると近視の進行が止まるのですが、最近では大人になっても近視の進行が止まらない人が増えています。パソコンやスマホの普及がその背景にありますが、近視になってもメガネやコンタクトレンズで気軽に矯正できるため、近視になることを深刻に受け止めず、対策を怠り、軽度近視から中度近視、強度近視へと目の状態を悪化させることになっているのです。
2060年に日本人の平均寿命は男性84歳、女性91歳に!
だからこそ、今から近視にならないように予防を!!
目のことについて真剣に考えてみませんか?
私たちの未来を考えると、たかが近視くらいで、とはいってられないようです。
内閣府が発表している「平成28年度版高齢社会白書」を見るとハッキリします。
日本の平均寿命は、2016年(平成28年)では、男性80.98歳、女性87.14歳でいずれも過去最高を更新中です。今後とも、男女の平均寿命は延びて、約40年後の2060年には、男性84.19歳、女性90.93歳となり、女性は90歳を超えると見込まれています。私たちは、定年でリタイアしたあとでも、快適に暮らすには目の健康を20年は維持しなくてはならないのです。
それに、いま10代~20代の人が定年を迎える頃、寿命が伸びているだけでなく、日本は超高齢化社会を迎えることが推測されているのです。
65歳以上の高齢者人口と15~64歳人口の比率をみてみると、1950年(昭和25年)には1人の高齢者に対して12.1人の現役世代(15~64歳の者)がいたのに対して、2015年(平成27年)には高齢者1人に対して現役世代2.3人になっています。高齢化率はその後も上昇を続け、現役世代の割合はどんどん低下し、2060年には、1人の高齢者に対して1.3人の現役世代という比率になると推定されているのです。
日本の未来を考えたら、私たちの目の健康を保つことがどれほど重要になっていくか、お分かりでしょう。
50代、60代は現役バリバリ、70代など死ぬには早いといわれる現代ですが、80代でも現役でいないといけない時代がくるのです。将来的に福祉に頼らずにいるためにも、社会で元気に暮らしていくためにも、快適な視界は欠かせません。
いまだに近視のメカニズムはハッキリとは解明されていません。将来的には、近視のメカニズムが解明され、メガネやコンタクト、レーシック手術といった対症療法ではなく、近視の治療ができることになるでしょう。しかし、現時点で大切なことは、
- 近視にならないように予防する。
- すでに近視になっている方は、進行を遅くする、止める。
そのためにも、目に悪い生活を一度見直すことが大切なのです。
もし、あなたのお子さんが視力検査で0.7といわれた時は、一刻も早く近視を進ませないための対策をとりましょう。近視のなり始めの時期の対策がとても重要です。
視力ケアセンターでは、厚生労働省認可の超音波治療器の製造・販売を行うとともに、当サイトで、近視予防に役立つさまざまな情報を提供しています。気になるページから一読していただくことで、近視の予防法、近視の進行を遅くしたり止めたりする方法を理解できるはずです。歯磨き同様、近視の予防法は毎日、習慣化することが大切です。皆様が80歳になっても快適な視力を維持されることを願っております。
平均寿命の推移と将来推移
※内閣府が発表している「平成28年度版高齢社会白書」より
高齢世代人口の推移
※内閣府が発表している「平成28年度版高齢社会白書」より
視力ケアセンター センター長 鍛治 孜
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